石田衣良 「坂の下の湖」から世の中を読み解く




石田衣良の「坂の下の湖」という本のご紹介です。

石田衣良さんは本屋さんの本棚でよく見かける著名な作家さんです。

推理小説、恋愛、ノンフィクション等の様々なジャンルの本を書いています。

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は ishidaira.jpg です
オフィシャルページより

今回はエッセイ集になります。

2009年当時に駅で無料配布されていたR25という雑誌に寄稿されていたエッセイを編集して再掲載されたものです。

このR25は今では廃刊になってしまいましたが、アラサー世代の方々は駅前などで見覚えがある方が多いはずです。

タイトルについて

「坂の下の湖」

エッセイ集なのにも関わらず、この不思議なタイトルに疑問を感じた方は多いはずです。

これは司馬遼太郎の「坂の上の雲」を意識しています。

司馬遼太郎著

NHK特別大河ドラマとしても放送された名作です。

明治時代の秋山好古と秋山真之という二人の兄弟に焦点を当てて、明治時代初期に科学技術・軍事力の点で西洋列強に対して劣っていた生まれたての新生日本が背伸びをして西洋の文化を取り入れて、日露戦争で大国と言われたロシアに対して歴史的勝利をするまでの事実に基づいた小説です。

NHK大河の見せ場シーンの一つである203高地攻略。

両軍は203高地という丘のために血みどろの激しい戦いを繰り返し、攻略部隊が掲げた日の丸が激しい銃火を浴びながら丘を駆け上がっていくシーンは日本人だったら込み上げてくるものがあります。

坂の下の湖には明治時代の日本人が坂の上に見える雲を掴もうと坂を駆け上がったように、今では斜陽の成熟国となった日本で心温かく生きようという願いが込められています。

坂の下の湖について

この坂の下の湖は2009年頃に書かれたエッセイです。

このエッセイが書かれた当時からどれほど世の中が変わったでしょうか。

当日は「5G」「AI」「IoT」なんていうキーワードもなかったですし。

2009年当時は夢でしかなかった話が現実のものになりつつあります。

エッセイ集自体が過去のものになってしまったかといえば、10年以上経過した今読んでもしっくりくるものがあります。

2009年当時の世相、不景気、恋愛、医療制度など石田衣良さんが持論を展開していきます。

印象としては、どれも総じて温かいです。

石田衣良さんはきっと感受性豊かで優しい方なんだろうなって感じてしまうようなエッセイ集です。

個人的に記憶に残ったのは「ニッポンのあたりまえ」というエッセイです。

ここでは採算のとれない公共施設、世代間格差が語られています。

まとめ

10年前にまとめられたこととは思えないエッセイです。

10年前にここまで問題が顕在化されていながた自分らはなにをしていたんだろうか。

ただひたすら西欧列強に追いつくことを目指して坂を駆け上がった明治初期の日本。

デフレと長期低迷にあえぎ、下り坂を緩々と下っている現代日本。

タイトルがそれを物語ってました。







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